携帯4万円値上がり? 「SIMロック」、解除の利点強調も拡大は疑問(産経新聞)

 総務省が今月2日、携帯電話端末を特定の携帯電話事業者だけで使えるように制限している「SIM(シム)ロック」を解除するようNTTドコモなど事業者4社に要請した。同省は携帯電話端末を選択する幅が広がるなど消費者のメリットを強調するが、一部の事業者から反発が出ている。解除に揺れる携帯電話市場の事情を探ってみると−。(西川博明、森田晶宏)

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 携帯電話端末には、一般的に「SIMカード」という抜き差しが可能なICカードが挿入されている。電話番号などの利用者情報が記入され、通信を利用するために必要な部品だ。

 NTTドコモなど日本の携帯電話事業者は現在、SIMカードを他の事業者の携帯電話に差し替えても使えないように設定している。これが「SIMロック」だ。

 海外ではSIMカードにこうした使用制限をかけない国や地域が多く、利用者はSIMカードを差し替えて事業者や端末を自由に選ぶことが一般的だ。

 日本でもこうした携帯電話の利便性を高めようと、総務省は今年に入り、原口一博総務相の指示でSIMロックの解除に向けて検討を始めた。総務省には、ロック解除は国内外からの新規参入を促し、「利用者にとって端末の値段や通信利用料が下がることが期待できる」(内藤正光総務副大臣)との見方もある。

 しかし、「ガラパゴス(孤島)化」と揶揄(やゆ)される日本の携帯電話市場では、SIMロックが解除されても、すんなりと利用者にメリットが広がるとはかぎらない。

 NTTドコモやソフトバンクモバイルは現在、同じ通信規格「W−CDMA」を採用しており、基本的に互換性を持っている。例えば、NTTドコモのSIMカードをソフトバンクの携帯電話端末に差し込んだ場合、電話やSMS(ショートメッセージサービス)が使える。だが、ドコモのiモードなど各社独自の通信サービスは使えない。

 また、KDDI(au)に限っては「CDMA2000」という通信規格を採用しており、他社とは互換性を持たない。

 このため、携帯電話事業者や端末メーカーからは、総務省が求めるSIMロックの解除に「方向性はわかるが、すぐには消費者のメリットにはつながらないだろう」との声がある。

 携帯電話事業者は販売奨励金で携帯電話端末を安く販売する一方、利用者を2年契約などで囲い込み、通信利用料で収益を確保するビジネスモデルだ。SIMロックが解除されれば、こうした収益モデルが崩れ、「端末価格は平均4万円あがる」(孫正義ソフトバンク社長)との見方もある。

 端末メーカー側にも、事業者の販売奨励金がなくなれば、「端末価格は上昇し、サイズも厚く大きくなる」(業界団体の情報通信ネットワーク産業協会)との指摘がでている。

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 ■海外では一定期間で解除可能に

 原口総務相ら総務省の政務三役が、SIMロック解除の参考モデルとしているのが、海外の実例だ。

 例えば、携帯電話を買ってから一定期間が経過すれば、SIMロックを解除できる国・地域がある。

 フランスでは半年、イタリアでは1年半、ドイツでは2年がそれぞれたてば、無料でSIMロック解除に応じてくれる携帯電話事業者が一般的だ。解除後は、利用者が事業者を自由に選択できる。規定期間が経過していなくても、利用者が一定額を支払えば解除してくれる事業者もある。

 また、米国や英国では携帯電話事業者にSIMロックの解除を義務づける規制はなく、事業者の判断に委ねられている。

 原口総務相は携帯電話事業者に対し、6月末までに解除に向けた自主的なガイドライン策定を求めている。総務相は日本企業が「グローバルスタンダード(国際標準)」を意識して国際競争力をつける必要を強調しており、SIMロックの解除にもそうした思惑があるようだ。

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